◆文章:アオニン
◆写真提供・取材協力:粤痛組
10月4日(金)に、中国広東省佛山市で痛車イベント「痛一会2024 in 佛山」が開催された。「粤痛組(ユェ トン ズー)」 が主催する中国初の屋内痛車イベントとして注目を集めた。
会場は屋内外に分かれ、9,000平方メートルの屋内スペースに約190台、屋外に約40台の計230台超の痛車が展示された。見学者を含め合計で1,000人が来場する大型イベントとなった。
中国初の屋内痛車イベントとのことで、中国各地から痛車オーナーが集まった。開催地の佛山市は中国南部に位置するため、遠方からの参加者の移動は容易ではない。最も遠くから訪れたのは内モンゴルの痛車チームで、約1,800kmを超える道のり(参考:青森〜佐世保1,780km)を経て来場したという。中国の広大な国土ゆえ、参加者の移動距離もダイナミックだ。
「痛一会」の名称は日本の茶道用語「一期一会」に由来する。主催者は「一期一会、難得一面、世当珍惜(いちごいちえ、なんとくいちめん、せいとうちんせき)」という理念を掲げ、痛車ユーザーへの感謝と歓迎の意を表している。
第1回「痛一会」は2019年10月に開催。当初はCICFマンガ展の一角を借りた小規模な集まりから、第2回以降、「粤痛組」が独自に会場を確保し運営するようになった。今回で第6回目の開催となる。
主催者代表は屋内開催の理由について「皆が外で日焼けするのを避け、空調の効いた快適な場所で楽しみたいという希望があったから」と笑顔で語った。ただ、室内でのイベント開催は初の試みで多くの課題に直面したという。
中国では近年、痛車の合法的な登録が可能になり、全土で痛車文化が急速に発展しているという。「粤痛組」は、愛車展示の場を提供するだけでなく、マナーを守って車を楽しむ文化の普及や、痛車デザイナーの自己PR、著作権意識の向上にも力を入れていると話す。
日本最大級の屋内痛車イベント「DayDream」を開催した犬丸氏や、九州で主にイベントを開催するニック斎藤氏ら数名が直接現地を訪れた。主催者は「当初は試しにお誘いしただけでしたが、痛車文化への愛があったからこそ、彼らは遠路はるばるお越しいただき、日本以外の地域での痛車文化の発展を共に見届けてくれました」と感謝の意を表した。
今後の展望について、主催者は「より広くて適切な価格の会場を探し、大規模なイベントの開催を目指す」としている。ただし、運営の質を確保するため、当面は広東省内での開催にとどめる方針だ。将来的には、中国中部地域で全国の痛車が集まりやすい場所でのイベント開催も視野に入れている。
「痛一会2024 in 佛山」の成功は、中国における痛車文化の定着と発展を示す象徴的な出来事となった。日本発祥の痛車文化が、国境を越えて広がりを見せている様子がうかがえる。今後、この文化がどのように進化し、国際的な広がりを見せるか、さらなる注目が集まりそうだ。
次回の記事では、今回のイベントで展示された個性豊かな痛車について詳しく紹介する。中国ならではのデザインや、日本のテキストを取り入れた車両など、多様な中国痛車の魅力に迫る予定だ。